連載
#8 あなたの知らないトイレ
トイレの壁のあのリモコン…実は電池いらず! 自ら発電する優れもの
最近トイレの話ばかりしているような気がします。トイレの個室に行くと、壁にとりつけられているリモコンがよく目に入ります。遠隔から操作できる優れもの。何げなく使っていたのですが、実はこのリモコン、電池がいらない画期的な商品らしいのです。いわゆるエコフレンドリー? 作っている会社に経緯を聞きました。
連載
#8 あなたの知らないトイレ
最近トイレの話ばかりしているような気がします。トイレの個室に行くと、壁にとりつけられているリモコンがよく目に入ります。遠隔から操作できる優れもの。何げなく使っていたのですが、実はこのリモコン、電池がいらない画期的な商品らしいのです。いわゆるエコフレンドリー? 作っている会社に経緯を聞きました。
最近トイレの話ばかりしているような気がします。トイレの個室に行くと、壁にとりつけられているリモコンがよく目に入ります。遠隔から操作できる優れもの。何げなく使っていたのですが、実はこのリモコン、電池がいらない画期的な商品らしいのです。いわゆるエコフレンドリー? しかも、これまで主流だった電池が入っているタイプとの形勢が逆転しつつあります。作っている会社に経緯を聞きました。(朝日新聞デジタル編集部・影山遼)
名前はずばり「エコリモコン」。TOTOの温水洗浄便座「ウォシュレット」などのリモコンとして使われています。縦12センチ、横20センチの見たことのあるサイズのあれです。
話は横道にそれますが、「ウォシュレット」は一般にめちゃくちゃ流通している言葉ですけれども、TOTOの登録商標のため、他社の製品などは「温水洗浄便座の~」と新聞などで書く必要があります。温水洗浄便座ってあまり聞き慣れないですよね。
世間で一時期多用されていたので、あまり好きな言葉ではないのですが、エコリモコンを作ったのは「リケジョ(理系女子)」(最近めっきり聞かなくなりました)。福岡県北九州市にあるTOTOの社員です。本社は東京でないんですね。トイレの立ち位置の取材をした時に初めて知るという記者としてあるまじき知識のなさです。
開発したのは、エレクトロニクス技術本部の電子機器研究開発第一グループという意味は分かる長めの部署に所属する森岡聡子さん(37)。3年かけて作り上げたといいます。
育休中の森岡さんに代わって、上司の山中章己さん(52)に聞きました。こだわった点はもちろん「操作のしやすさ」だといいます。
このリモコン、9個のボタンを押す度に、通信に必要な分を自ら充電します。通信用の電力は全て自己解決です。
電池式ですと、定期的に電池交換の作業が発生しますが、これだと手間が不要。電気工事をせずとも壁に取り付けが可能です。便座と一体になっているタイプは操作するところの電源が不要で、電池式のリモコンタイプは操作がしやすい。二つのいいとこ取りをしているものがエコリモコンになるようです。
少し宣伝くさいような気もしてきました。
発電の原理としては電磁誘導という火力・水力・風力発電と同様な仕組みです。
スイッチを押す→カムが回転→横方向の力に変換→どのスイッチが押されたか検出→発電モジュールのスイッチが押される→発電!→リモコンから電波信号
9個のボタンと発電機1台を連結させることに苦労したといいます。大すぎないリモコンサイズにすることもなかなか大変で…。うーん、単純なようで難しい。
2011年8月に研究を始め、それから3年。14年10月の発売にこぎつけました。
開発した森岡さんについて、山中さんは「ものづくりにおける好奇心の塊」と評します。
「ウォシュレットPS」というシリーズにおいて、リモコンは電池式とエコリモコンの2種類があり、エコリモコンの採用は電池式を上回るまでになりました。道理でよく見かけるわけです。
「誰でもボタン操作ができるよう軽い力で押せるように」との観点から生まれたエコリモコン。トイレのヘビーユーザーとしては今後も頻繁にお世話になりそうです。
1/20枚